あたらしい人工知能の教科書 第3刷になりました


あたらしい人工知能の教科書」という本を書かせていただきまして、それが出版されたのは昨年12月のこと。ちょうど人工知能関連書籍の出版ブームに後押しされるような形で増刷が決まり3刷になりました。これもひとえに支えていただいている皆さんのおかげです、ありがとうございます。

この本、教科書という言葉が書名に入っているんですが、最初から教科書を書こうとは思っていなかったんですよね(編集さんの会議でタイトルこれになりました、と知らされた)。なので本人はそんな仰々しいタイトルに対してこんな内容でいいんだろう感ずっとあります。

じゃあ何書こうと思ってたのかというと、エンジニア向けのガイド本っぽい感じにできたらなあと考えていたんですね。そして目次の構成を検討していたらこれを説明するにはあれがいるぞ、みたいになっていって気が付けば結構な分厚さに。去年なんかは、もう人工知能=ディープラーニングだ深層学習やるぞみたいな風潮全盛だったのでやはりそういうネタは入れ込まないとねという流れもあり、しかしその一方で実直にデータ分析や機械学習に取り組む現場レベルに必要な要素は外せないということで当初予定されていたページ数を大幅に上回ってしまいました。

ニューラルネットワークを含む機械学習に必要になる線形代数・統計学、そして画像解析や音声認識などの波形処理に必要な解析学の要素を1冊の中に盛り込みました。ので、それぞれの分野で数多の専門書があるわけで当然内容は薄くなってしまいますよね、深いところを知りたいという方は本当にちゃんとした専門書を買ったほうがいいと思います。

あと、深層学習に関連したところはこれまでもそうでしたが進歩が速いので細かい解説を入れることよりもどういう利用法があるのかというところ、つまりはアイデア面のほうが重要そうに考えていましたので理論面は薄いです。このあたりの解説は最近Webなどでも増えてきましたし、RNNなんかももう要らないんじゃないかみたいな話もあったりなかったりしたので、無理して深追いせずでよかったのかも。

このような感じで広く薄くな、人工知能技術全体を俯瞰できるような形になっていると思いますので、これからデータドリブンな解析処理や機械学習システムに取り掛かろうと考えている方やそういったものに興味がある方、大学で数学っぽいことはやったけど再入門しないといけない、とか機械学習は深層学習以外にもあると最近知ったという方におススメしたいです。この本はここ4年ぐらいの機械学習関連の勉強会なんかで取り上げられることが多かった題材がふんだんに入っているので、中身をチェックしておくと最近の技術系雑誌などの人工知能特集でも読むときに役立つかもしれません。

そういえば翔泳社祭、なるものが行われているらしく売れ行きが好調だそうです。本当にうれしく思います。ポイントが気になる方、今がチャンスかもしれません。