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04.04.11 命の重み
大谷院長が産婦人科学会から除名されたそうな。覚えておいででしょうか? 彼が何をした人か。
一時期かの「着床前診断」で物議を醸した方です。着床前診断というのは人工授精をしたときに、
卵子を母体に戻す前に遺伝子診断を行ってその卵子を調べた上で子宮に戻す・・・いや、子宮に入れるかどうかを判断できるということを意味するんですが、
これは生命倫理上意見が真っ二つに割れるところでもあります。どこからを生命体と呼んで、どこまでを「物体」とするか、本当に微妙な判断だと思います。
さらに、この産み分けという行為が自然の摂理に反する(人工授精そのものも結構怪しいと思いますが)ことであるとする意見が大勢を占めている中で、
どの範囲までなら許されるのかということも意見が割れる原因でもあります。遺伝子診断は人工授精が始まった頃ではまだ「同一人物か・親子か」
程度のレベルでしかなかったものが、現在のポストゲノム時代の中でどんどん進歩を遂げていて個々の遺伝子の機能も次第に明らかになってきているので、
どういった病気が起こりうるのかということまで予想できます。
生命科学の研究に触れているわが身としては、例えば細胞移動のメカニズム、シナプス形成・
神経回路形成のメカニズムが明らかになることが、将来、肉体(知性)改造の技術につながり現世と同じような倫理問題を投げかけるのではなかろうかと思うと、
その技術に加担していることに少し気がとがめたりもしないでもない。
イラクで拉致された3人の日本人は無事開放されるのだろうか・・・?
Copyright (C) 2004 Satoshi Tada