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2005年9月13日

新聞と論文  このエントリーを含むはてなブックマーク 

「夜遅くに食べると太る」という従来からの経験則が、分子細胞生物学的に示されたということなんやけど…

うむ、やっぱりタイトル的に朝日の勝利ですね。


でもこの記事の元となった論文、PubMedを見ると…。
Brain and muscle Arnt-like protein-1 (BMAL1), a component of the molecular clock, regulates adipogenesis.(Shimba et al.)

These results indicate that BMAL1, a master regulator of circadian rhythm, also plays important roles in the regulation of adipose differentiation and lipogenesis in mature adipocytes.
全文をすっ飛ばして結論部分のみを書き出したんやけど、この論文では2つのことを言っている。
  • BMAL1 also plays important roles in the regulation of adipose differentiation (BMAL1は脂肪の分化を制御している)
  • and lipogenesis in mature adipocytes (BMAL1は分化後の脂肪細胞で脂肪の産生を制御している)
で、この論文の一番おもしろいところは「体内時計を司っている分子が脂肪組織の分化・脂肪の産生にも関わっている(also plays)」ということやと思うんよね。1つの分子、つまり1つの遺伝子から生まれるタンパクがまったく関係のないと思われるような機能で共有されている、というのは実際にこれからのプロテオミクスやメタボロミクスでは熱くなってくるところなんやろうなと思う。

ところで、やはり新聞のタイトルにもあるように脂肪細胞と言うと「太る」という単語に結びつくわけやけど…この実験で使われている動物はマウス、過去の実験をざっと見たところによるとmouse, ratが多いんよね。

午後3時ごろは微量で、午後10時~午前2時に最も多くなる。その差は約20倍にも上る。
ちらっとモグラの実験でグラフがあったから見てみたら、相対量で昼間は減少してるように見える。
…マウスは夜行性、と考えればヒトでは逆なんでは? と思ったりもするんやけどこの時間表記はほんまにヒトでの時間なんやろうか? 確かにマウスでもヒトでも約25時間で~とかはよく言われてるけど、実際にヒトでその分子を調べた実験ってあるんやろうか。

By ただ at 10:55 カテゴリー ; 仕事関係 , 仕事関係 , News

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