« 01.23 【メモ】Mayaa | ココ | 01.25 やっぱりそうか »

2006年1月24日

チンパンジーと制限酵素  このエントリーを含むはてなブックマーク 

最近ライブドア問題に押されっ放しやったから、ライフサイエンス関係の記事がすっかり遅れてしまった。

染色体にヒト進化の根源? 慶大など発見*1

ヒトとチンパンジーのゲノム(遺伝情報全体)を比べると、1.2%の相違がある。染色体ごとに見ると、相違が多く見つかる部分がある。
グループが8番染色体を詳しく調べたところ、染色体の片方の端に近い部分で、チンパンジーと大きく相違する領域を見つけた。この領域での違いは平均2.1%あり、部分的には3.2%も違うところがあった。

多比良教授らの論文記載ミス認める「結果に間違いない」*2

論文に記載された酵素を使うと、DNAを切る位置が論文の結果と異なるはずという指摘が専門家からあり、多比良教授が問い合わせたところ、担当者が「単純な記憶違い」と記載ミスを認めた。この問題で、担当者が論文の間違いを認めたのは初めてという。

クワの葉、蚕以外の幼虫には毒 医薬品へ有用成分も*3

このアルカロイドは糖の消化や代謝を阻害し、血糖値を下げる効果が報告されている。クワの葉に含まれることは知られていたが、乳液中には葉全体の平均濃度の約100倍の濃度で存在していることが分かった。農薬や医薬品として利用できる可能性があるという。


*1 ゲノムレベルでの話なので何とも言えませんが…と前置きした上で。全体で見たら1.2%、一部分を見たら、2.1%、最大3.2%。

This fast-evolving region contains a number of genes related to innate immunity and the nervous system, including loci that appear to be under positive selection - these include the major defensin (DEF) gene cluster and MCPH1, a gene that may have contributed to the evolution of expanded brain size in the great apes.
と、アブストには書いてあったのに、チンパンジーゲノムとの差を見るところ(Fig.3)では、その、最大の3.2%差がある(たぶん平均は1.6%)領域のゲノムはCSMD1(ontologyによると膜タンパクっぽい)と書いてあるんですが。さらには、その部分は人間でも一番差がある(0.28%; たぶん平均は0.1%)ところ。このCSMD1が脳に広く発現しているらしいから、この分子がなんか脳の発達と関係があるんでは、ということを考察で書いてはりますが。…実際タンパクレベルではどうなんやろうね。

*2 制限酵素を書き間違えますか? 1箇所だけ、とかならまだうっかりっていうこともあるやろうけど、全部間違ってるんでしょう? …というか1箇所だけなら絶対間違いを指摘されるやろうし。
04年に捏造事件が発覚した理研では、「科学研究上の不正行為への基本的対応方針」制定が行われるようだ。一応、某O大でも、かの捏造事件の発覚後、学生に特別講義があったらしい(防災特論みたいなもんが1個増えた、と言ってた)。

*3 蚕が桑の毒を克服したのか、それとも桑が蚕との共生関係を築くために毒を出すようになったのか。それも気になるところやけど、生物資源由来の農薬とかができたら食(野菜)に対する安心感は広がっていいかもね。

By ただ at 22:54 カテゴリー ; 仕事関係 , News , News

« 01.23 【メモ】Mayaa | 01月の記事 | 01.25 やっぱりそうか »




トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://pinmarch.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/369