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2006年4月29日

準ひきこもり    

かえ氏が拾ってきた論文。なんかはてなでは盛り上がっているらしい。

• 大学生における準ひきこもり行動に関する考察　―キャンパスの孤立者について― *1
• かぐや姫症候群に関する考察　―準ひきこもり行動との関連から―*2

と孫引き先ページがこちら大学における準ひきこもりという存在。それにプラスして、かぐや姫症候群について(社会心理学的な)コメントされたページがこちら、かぐや姫？。かぐや姫と重ねる感性が分からん、というのはさておき。

かえ氏は主に職業観的な見地からのコメントがされていたんだが。

ひと通り読んでみた(*1を)んだが、データが示されていないために客観的に主張を述べている論文ではなく、かなり主観的な論文と取られても仕方がないだろう。特に、

まず最初に出現率について調べなければならないだろう。筆者の印象では、10 人に１人というほど高率ではないが20 人に１人というほど低率でもないといったところである。また女子学生より男子学生に多い。それから最近特に多く出現しているのはなぜなのかについても考察して行かなければならない。

と書かれていることから、データが揃っていないことが分かる。ひとまず、教授自身が遭遇した出来事を基に警鐘を鳴らしたい、という意図が働いていると思われる。女子学生より男子学生に多い、と既成事実のように書かれている点もそれが真かどうかは分からない。印象だけやし。

樋口教授は富山国際大に来る前は、関大にいたらしい。前年の紀要では、ストレス状況に置かれた生徒に対する｢生徒指導｣方法―達成動機，対処方略，および適応の関係を基に―という論文を出していて、ここでは統計データを基に議論をしている。特にそのリファレンス欄では、

樋口康彦 1995b 他者のイメージが達成動機に与える影響について─モデリング理論の観点から─ 関西大学大学院『人間科学』,42,167-187.

とあることからモデリングができるほど数学に強いだろうということが窺える。

本論の冒頭で紹介した学生に関しても、仮にもし就職活動または親のコネにより、何らかの企業に就職できていたとしても結局は早期退職に至っていたと思われる。かなりレベルの進んだ準ひきこもりであり、民間企業での複雑な人間関係、営業活動などの激務には到底耐えられないからである。いずれにせよ新卒での就職を逃してしまった上、新たな就職活動、職場での適応など、今後大変な苦労が予想される。

自分が受け持った学生に対して酷い書き様だ。 そして、締めの部分では「大学生のうちに」と書かれているが、なぜ大学生? とツッコミを入れたくなるのは僕だけ? 最近のニュースでは大学生以降に限らず、高校生だろうと中学生だろうとそれに当てはまる犯罪は多いぞ…。

統計データを出していないことから、記述はできるだけ共通している部分だけを書き出さなければならなくなる。一部では『観察力がすごい』などと書かれているけれども、突っ込んだ記述ができない以上こういう書き方になるのは仕方がないこと。要は、血液型判断をしているようなもので自分に当てはまっている項目があれば「あ、当たってる」と思うもの。昔から人付き合いが苦手な人がこれを読んでも、「あ、自分のこと書かれてる」と思ってしまうだろう。
無駄に煽ってるからこんな書き込みが出てくるんでは。しかし樋口教授の研究でのキーワードは言うまでもなく『達成動機』。この論文は増えるニートに対するケツ叩きなのかも知れない。つまり、これに反応すればするほど、樋口教授の思惑通り、ということなのだろう。

ただ、大学院(ドクター)に進むことで『社会不適合者』のレッテルを貼られているという側面が(結構前から)あることを教授は知っているのだろうか? そしてその偏見が現在のポスドク就職難現象を引き起こしていることを。どちらにしろ、教授も偏見で論文を書き上げるのは辞めてほしいですね。

By ただ at 20:44 カテゴリー ; mein Erbe

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コメント

投稿者 かえさん : 2006年5月 1日 00:37

投稿者 林弘美さん : 2006年10月24日 15:23

投稿者 たださん : 2006年10月28日 19:29